Ankiを入れて最初の数日は順調だったのに、2週間後には開かなくなっていた。Ankiの公式マニュアルにも、使い始めの数日で数百枚の新規カードに手を付け、その後に必要になる復習の量に圧倒された利用者は一人ではない、という注意書きがあります(2026年9月時点、公式マニュアルより)。続かない理由を、意志の弱さに求める必要はありません。この記事では、つまずきやすい場所を「カードを作る手間」「設定と用語の多さ」「溜まった復習(due)が雪だるま式に増えること」の3か所に分けて扱います。後の2つは、公式マニュアル自身が注意を促している点です。まずAnkiの中でできる直し方を公式マニュアルに沿って示し、それでも合わない人のための選択肢を、撮影から一問一答を作るアプリであるメモハック(MemoryHack AI)も含めて比較します。この記事は、メモハックの運営者が書いています。
この記事の要点
- Ankiでつまずきやすいのは、カード作成の手間、設定と用語の多さ、溜まった復習の3か所です(設定と復習の山は、公式マニュアル自身が注意を促しています)。いずれもAnkiの中である程度まで対処できます。
- Ankiの公式マニュアルは、設定を調整する前に既定のまま数週間使うことを勧めています。最初に触るのは、デッキオプションの「1 日の新規カード上限」と「1 日の復習上限」の2つで足ります。
- 同マニュアルによれば、毎日20枚の新規カードを続けると1日の復習はおよそ200枚になります。新規の枚数は、使える時間から逆算して決めます。
- 復習が溜まったら、リセットせずに新規の追加を止めて消化します。Ankiは待たされた期間を考慮して次の間隔を決めます。
- 間隔を空けた復習と想起練習は、学習法の中でも効果の裏づけが厚い組み合わせです(Dunlosky ら, 2013)。問題は原理ではなく、負荷のかけ方にあります。
- 合わない場合の選択肢は「設定を絞ってAnkiを続ける」「市販の一問一答・問題集」「作成を自動化する」の3つで、向いている人がそれぞれ違います。
Ankiが続かないのは、意志が弱いからなのか?
意志の問題として片づける必要はありません。Ankiが止まりやすいのは、カードを作る工程、設定を理解する工程、溜まった復習を消化する工程のどれかで、負荷が生活の時間を超えたときです。道具の原理が正しくても、負荷のかけ方を誤れば続きません。
Ankiの原理そのものは堅実です。公式マニュアルは、Ankiが「アクティブリコール(能動的な想起)」と「間隔反復」という2つの原理に基づくと説明しています(2026年9月時点、公式マニュアルより)。Dunlosky ら(2013)は代表的な10種類の学習法を検討し、練習テストと分散学習の2つだけに有用性「高」の評価を与えました(https://doi.org/10.1177/1529100612453266)。Ankiはこの2つを毎日の手順に落とし込んだ道具であり、効く理由ははっきりしています。
一方で、効く仕組みはそのまま負荷の仕組みでもあります。3つの負荷と、それぞれに対するAnkiの中での最初の一手を並べると次のとおりです。
| 続かない理由 | よくある症状 | Ankiの中での最初の一手 |
|---|---|---|
| カード作成の手間 | 作るだけで1日が終わり、解く時間が残らない | 理解できた論点だけを、1枚1論点で作る。穴埋め問題(Cloze)を使う |
| 設定と用語の多さ | ノート・カード・ノートタイプの違いで手が止まる | 数週間は既定の設定のまま。触るのは1日の上限2つだけ |
| 復習の滞留 | 数日休むと復習が数百枚に膨らみ、開くのが怖くなる | 新規を止めて古い順に消化し、1日の復習上限を決める |
見落とされやすいのは、間隔を空けた学習が「効いている感じがしない」ことです。Kornell(2009)の実験では、単語カードを1つの大きな束で回す(間隔が空く)ほうが、小さな束に分けて回す(間隔が詰まる)より成績が高く、その優位は参加者の90%で見られました。それなのに最初の学習の後、72%の参加者は詰めて回すほうが効果的だったと感じていました(https://doi.org/10.1002/acp.1537)。Wissman ら(2012)が大学生374人に尋ねた調査でも、練習量を増やす価値は理解されていた一方、間隔を長く空ける価値は、多くの場合理解も実行もされていませんでした(https://doi.org/10.1080/09658211.2012.687052)。Ankiの復習が「思い出しにくくて気持ちよくない」のは、仕組みが正しく働いているからでもあります。
カードを作る手間は、Ankiの中でどう減らせるのか?
作るカードを絞り、1枚を小さくすることで減らせます。教材の全部をカードにしようとすると、作成だけで学習時間が尽きます。カードにするのは、理解できていて、かつ答えが1つに決まる論点だけで十分です。
Ankiの公式マニュアルは、複雑な分野を学ぶには自分でデッキを作るのが最も効果的だとしています。自分で入力すると要点を選ぶ判断を迫られ、理解が深まるからです(2026年9月時点、公式マニュアルより)。研究もこれをおおむね支持しています。Pan ら(2023)の6つの実験を通算すると、自作カードは既製カードより48時間後の記憶テストで有利で、推定効果量は d = 0.45、応用問題では d = 0.29 でした(https://doi.org/10.1037/mac0000083)。ただし、結果は作り方で分かれました。テキストを一字一句打ち込んで写した実験では既製カードとの差が見られず、書き写しに持ち時間のほぼ半分を使っていました。コピー&ペーストで手早く作った実験と、自分の言葉で言い換えて作った実験では、定義を答える問題と応用問題の両方で自作が有利でした。自分で例を考えて作った実験で有利だったのは、定義の問題だけでした。
書き写しの実験が示すとおり、自作の利得は時間と引き換えです。仮に1枚の作成に1分かかるなら、500枚で8時間を超えます。平日に1時間しか取れない社会人なら、作成だけで1週間以上が消え、その間は解く時間が残りません。自作と自動生成の線引きは一問一答を自作する時間は何と引き換えなのかで詳しく扱っています。
Ankiの中でできる対策は、次の4つです。
- 理解してから作る:公式マニュアルはSuperMemoの格言「理解していないものは学ぶな」を引いています。リーチ(何度も忘れるカード)の原因として、理解しないまま覚えようとしていることも挙げられています。
- 1枚1論点にする:同じくリーチの原因として、1枚に情報を詰め込みすぎていることが挙げられています。1枚で問うのは1つの事実だけにします。
- 穴埋め問題(Cloze)を使う:標準のノートタイプ「穴埋め問題(Cloze)」を使うと、文中の語を選んで空欄にできます。問題文を一から考える手間は減りますが、紙のテキストの文を一字一句打ち込むと、先の実験の書き写し条件に近くなり、作成に時間を取られます。電子版から貼り付けられる文は貼り付け、自分の言葉で言い換える価値がある論点に時間を回すのが、無駄の少ない配分です。条文をそのまま使い、答えが1つに決まる語だけを空欄にした例は、宅建の条文穴埋めサンプルで確認できます(e-Gov法令検索の条文から作成、登録不要)。
- 共有デッキは補助として使う:マニュアルは、共有デッキには作成者がすでに理解している背景の説明が欠けがちで、複雑な分野では外部の教材の代わりではなく補助として使うべきだとしています。一方で、自分の教科書に対応したデッキが共有されていれば、時間の節約になるとも書いています。
設定と用語の多さには、どう向き合えばいいのか?
最初の数週間は、ほとんどの設定を触らなくて構いません。公式マニュアルは、オプションを調整する前に既定の設定で数週間使って感触をつかむことを勧め、理解しないまま変更するとAnkiの効果を下げかねないと注意しています(2026年9月時点、公式マニュアルより)。
Ankiが難しく見える理由の一つは、似た用語が多いことです。公式マニュアルの定義を要約すると、次のようになります。
| 用語 | 意味(公式マニュアルの定義の要約) | 最初の数週間の扱い |
|---|---|---|
| カード | 問いと答えの1組 | これだけ意識すればよい |
| デッキ | カードのまとまり。デッキごとに設定を持てる | 科目ごとに1つ程度で十分 |
| ノートとフィールド | 関連する情報のまとまりと、その各項目。1つのノートから複数のカードが作られることがある | 標準の「基本」と「穴埋め問題」をそのまま使う |
| ノートタイプとカードタイプ | フィールドの組み合わせと、カードの表と裏の設計図 | 触らない |
| プリセット | 複数のデッキで共有するオプションの組 | 既定のまま |
| FSRS | 従来のSM-2に代わる、間隔計算の選択肢 | 慣れてから検討する |
最初の2週間のAnkiの使い方
使い方を最小限に絞ると、最初の2週間は次の5つの手順で足ります。画面の名前はパソコン版の日本語表示に合わせ、英語表示での名前を括弧で添えています。
- パソコン版(無料)か、Android版のAnkiDroid(無料)を入れる。iPhoneとiPadの公式アプリAnkiMobileは有料です(2026年9月時点、公式サイトより)。
- デッキは試験科目ごとに1つ程度にとどめる。マニュアルも、デッキは「レッスン1」のような細かい単位ではなく、大きな分類に使うのがよいとしています。
- カードは標準のノートタイプ「基本(Basic)」か「穴埋め問題(Cloze)」で追加する。ノートタイプの設計は慣れてからで構いません。
- 回答ボタンは「もう一度(Again)」(思い出せなかった)と「正解(Good)」(思い出せた)の2つだけを使う。マニュアルも、4つのボタンの使い分けが難しければこの2つだけでよいとしています。
- デッキオプションで触るのは「1 日の新規カード上限(New cards/day)」と「1 日の復習上限(Maximum reviews/day)」の2つだけにする。
慣れてきたら、スケジューラをFSRSに切り替える選択肢もあります。マニュアルによれば、FSRSはAnkiが従来使ってきたSuperMemo 2(SM-2)アルゴリズムに代わる選択肢で、どれだけ忘れそうかをより正確に見積もることで、同じ時間でより多くを覚えられる可能性があるとされています。SM-2はSuperMemoの開発過程で生まれた経験則(ヒューリスティック)で、FSRSは復習履歴から間隔を推定する別の方式だと理解しておけば足ります。注意点は2つです。FSRSの中心となる設定「目標保持率(Desired retention)」は既定値が90%で、90%を超えると復習量が急に増え、97%を超えると手に負えない量になりうるとマニュアルは書いています。また、忘れたのに「難しい(Hard)」を押す癖があると間隔が不当に長くなるため、忘れたら「もう一度(Again)」を押す必要があります。FSRSは間隔の計算を変えるものであって、新規カードの入れすぎから来る復習の山を消すものではありません。
復習の山は、なぜ雪だるま式に増えるのか?
復習の山の正体は、過去に追加した新規カードの「後払い」です。新しく覚えたカードは、間隔が十分に伸びるまで何度か繰り返す必要があります。新規を入れ続けると、過去に入れたカードの復習が重なり、1日の復習量が数週間かけて積み上がります。
公式マニュアルは、毎日20枚の新規カードを続けると、1日の復習はおよそ200枚になると見積もっています(2026年9月時点、公式マニュアルより)。新規と復習の比は約1対10です。使い始めの勢いで1日に何十枚も入れれば、数週間後には1日の復習が生活に収まらない量に育ちます。そこで数日休むと、その間の復習がさらに積み重なり、開くたびに数百という数字を見ることになります。これがAnkiで挫折する典型的な経路です。
逆に言えば、新規の枚数は使える時間から逆算できます。1枚の復習に10秒かかると仮定し、マニュアルの見積もり(20枚で約200枚)から出した約1対10の比率を当てはめた概算が次の表です。Anki自身も、デッキオプションの「1 日の新規カード上限」の説明で、新しい内容を学ぶと短期的な復習量が増えるため、通常は復習上限の10分の1以下にするとしています。
| 1日に使える復習時間 | 回せる復習の枚数(1枚10秒と仮定) | 新規カード/日の上限の目安 |
|---|---|---|
| 10分 | 約60枚 | 約6枚 |
| 20分 | 約120枚 | 約12枚 |
| 30分 | 約180枚 | 約18枚 |
表の時間は復習だけのもので、新規カードを覚える時間は別にかかります。1枚の秒数は教材と人によって大きく違うため、自分の10枚分を一度計ってから表を作り直してください。また、この比率は同じペースを続けたときの見積もりで、始めたばかりの数週間や休み明けは上下します。
では、復習を飛ばすと何が失われるのでしょうか。間隔を空けて繰り返すほうが、まとめて繰り返すより長期保持に優れることは、184本の論文・317の実験を統合したメタ分析で確認されています(Cepeda ら, 2006, https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354)。思い出す行為そのものも記憶を強めます。Roediger と Karpicke(2006)の実験では、1週間後の保持で、想起を繰り返した条件が読み返しを繰り返した条件の約1.5倍に達しました(https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x)。Ankiで期限が来た復習カードは、この2つが重なる機会、つまり「少し忘れかけた頃に、自力で思い出す」機会です。溜まった復習は、その機会を先送りし続けている状態だと言えます。
ただし、1日遅れたら台なしになるわけではありません。Cepeda ら(2008)は1,350人以上を対象に、復習までの間隔と最終テストまでの期間を変えて調べ、間隔を伸ばすと成績は最初は上がり、最適点を過ぎると緩やかに下がることを示しました(https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x)。予定より数日遅れた復習は、効果が多少落ちるとしても、無駄になるわけではないと読めます。本当に損なのは、山を見て開かなくなり、復習がゼロになることです。間隔の決め方そのものは忘却曲線に基づく復習タイミングで解説しています。
溜まった復習は、リセットせずにどう崩せばいいのか?
新規カードの追加を止め、1日の上限を決めて、古い順に消化するのが基本です。デッキを削除したり、学習履歴をリセットして最初からやり直したりする必要はありません。Ankiには、休み明けの利用者を前提にした仕組みがすでに用意されています。
公式マニュアルによると、復習が遅れた場合、Ankiは既定で最も長く待たされているカードから出題し、遅れて答えたカードについては待たされた期間を考慮して次の間隔を決めます。そのため、長い休みの後でも最初からやり直す必要はなく、止まったところから再開できると説明されています(2026年9月時点、公式マニュアルより)。
具体的な手順は次の5つです。
- 新規カードを0にする:マニュアルは、期限切れの復習が溜まっているときは、追いつくまで新規カードの追加を止めることを勧めています。遅れているのに新規を入れ続けると、山はさらに大きくなります。
- 1日の復習上限を決める:デッキオプションの「1 日の復習上限(Maximum reviews/day)」は、1日に出す復習の上限です。マニュアルは、1週間休んだ後にAnkiへ戻ったときの衝撃を和らげる設定だと説明しています。上限を超えた分は、その日は出題されずに待機します。
- 毎日同じきっかけで開く:「朝のコーヒーを淹れたら開く」のように、決まった行動のあとに置きます。
- 何度も忘れるカードは作り直す:マニュアルによると、復習中に忘れた回数が既定で8回に達したカードは「リーチ(leech)」としてタグが付き、出題が停止されます(2026年9月時点、公式マニュアルより)。対処として、情報の示し方を変える、重要でなければ削除する、似た項目との混同なら片方を後回しにする、の3つが挙げられています。
- 追いついたら新規を少しずつ戻す:前の節の表で決めた枚数から再開します。
ここで避けたいのは、山を減らすために「もう覚えたカード」を大量に停止・削除することです。Karpicke と Roediger(2008)は、一度正答できた単語を以後のテストから外す条件と、テストを続ける条件を比べました。正答後に読み返しだけを続けても遅延テストの成績は上がらず、テストを続けた条件だけが大きな効果を示したと報告しています(https://doi.org/10.1126/science.1152408)。しかも学生たちの成績予測は、実際の成績と相関していませんでした。覚えたつもりのカードでも、テストから外すと保持が落ちるおそれがあります。削るなら、マニュアルが言うように重要度の低いカードから削ります。
溜まった分が「ゼロからの学び直し」にならない点も覚えておいてください。エビングハウスが測ったのは、一度覚えたものを覚え直すときに節約できた時間の割合(節約率)で、Murre と Dros(2015)が31日後まで測った再現実験(被験者1名)でも、同様の曲線が得られています(https://doi.org/10.1371/journal.pone.0120644)。思い出せなくなったカードでも、覚え直しは初回より少ない時間で済むことが期待できます。節約率の読み方は忘却曲線は「覚えている割合」のグラフではないにまとめています。
習慣の研究も、1日の抜けに寛容です。Lally ら(2010)は、96人が「朝食の後」のように決まった文脈で毎日1つの行動を12週間続ける過程を追いました。行動の自動性が上限の95%に達するまでの日数は18日から254日と個人差が大きかった一方、1回実行し損ねても習慣の形成には実質的な影響がなかったと報告しています(https://doi.org/10.1002/ejsp.674)。手順3で「決まった行動のあと」に置くのはこのためで、1日飛ばしたら終わり、ではありません。
Anki以外の選択肢は、何を基準に選べばいいのか?
基準は、どの工程に自分の時間を払えるかです。カードを作る時間を払えるならAnki、作る時間も論点選びも任せたいなら市販の一問一答、手持ちの教材を使いたいのに作る時間がないなら作成の自動化、という分け方が実用的です。
| 選択肢 | 向いている人 | カード作成 | 復習間隔の管理 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 設定を絞ってAnkiを続ける | パソコンやAndroidで学習したい人、作る過程も学習にしたい人、細かく調整したい人 | 自分で作る(共有デッキも使える) | Ankiが自動で行う | 新規枚数の管理が続く。iPhone版は有料 |
| 市販の一問一答・問題集(紙) | 試験範囲が決まっていて、出題の選定を任せたい人 | 不要 | 自分で行う(正誤と日付を書き込む) | 手持ちのテキストと論点がずれることがある |
| 作成を自動化する(写真からAI生成。例:メモハック) | 手持ちのテキストを使いたいが、作る時間が取れないiPhone・iPadユーザー | 撮影して生成し、内容を確認する | アプリが自動で行う | AIの誤りを教材で確認する必要がある。iOSのみ。無料プランは生成回数に上限があり、超えて使うには有料プラン(PRO 月額980円から・税込、2026年9月時点) |
市販の一問一答を選ぶ場合も、間隔の考え方は使えます。解いた日付と正誤を問題番号の横に書き、間違えた問題だけを数日後に解き直す。これだけで、紙の上に簡単な間隔反復ができます。思い出す練習の組み立て方はアクティブリコールのやり方を参照してください。
作成を自動化する選択肢の一つが、メモハックです。テキストや過去問のページを撮影すると、AIが約30秒で一問一答と解説を作り、SM-2間隔反復が一枚ずつ次の復習日を決めます。復習は「期限切れ・今日・新規」の3つに分けて表示され、標準のSM-2に加えてFSRSにも切り替えられます(切り替えは無料で、アカウント登録なしのゲストのままでも選べます)。問題、約2秒の間、答えの順に読み上げる耳勉モードもあります。無料プランでは、クイズ生成が初回ギフト5回と毎日3回(広告視聴で1日さらに最大3回)、耳勉モードの再生が各デッキ3枚までです(2026年9月時点。上限は変更される場合があります)。これを超えて使うには有料プランが必要で、PROは月額980円(税込)です。条文番号や判例名は、写真に写っているものだけを書くようAIに指示していますが、それでも誤りは起こりえます。生成された問題は教材と照らして確認してください。他のアプリと比べるときの観点は、写真から問題を作るAI暗記アプリの選び方にまとめています。
それでもAnkiを続けたほうがいいのは、どんな人か?
次のどれかに当てはまるなら、Ankiを続けるほうが合理的です。Ankiはパソコン版とAndroid版のAnkiDroid、同期サービスのAnkiWebが無料で、パソコン版はオープンソースです。カードの設計やアドオンによる拡張の自由度は、専用アプリにはない強みです(2026年9月時点、公式サイトより)。
- iPhone以外で学習したい:Windows・Mac・Linux・Androidで使うならAnkiです。メモハックはiOS(iPhone・iPad)向けのみで、Android版はありません。
- 作る過程そのものを学習にしたい:Pan ら(2023)では、一字一句の書き写しを除き、自作カードが既製カードを上回りました。自分の言葉で言い換えて作る時間を確保できるなら、この利得を手放す理由はありません。
- カードの見た目や出題方法を作り込みたい:ノートタイプ、カードのテンプレート、アドオンによる機能追加はAnkiの強みです。画像の一部を隠して問う「画像穴埋め(Image Occlusion)」も標準のノートタイプとして用意されています。
- 自分の教材に合った良質な共有デッキがある:首都名のように事実の一覧に近い分野では、外部の教材なしでも共有デッキで足りる場合があるとマニュアルも書いています。
- すでに大きなデッキと復習履歴がある:メモハックはAnkiのデッキファイル(.apkg など)を取り込めません。積み上げた履歴を捨ててまで乗り換える必要はありません。
iPhoneだけで学習したい場合、公式アプリのAnkiMobileは有料です。公式FAQによると、一度購入すれば同じApple IDの端末5台まで使え、価格に見合わないと感じる場合の代わりとしてAnkiWebが挙げられています(2026年9月時点、公式FAQより)。Ankiを続けるか迷ったら、まず新規カードを減らして2週間試し、それでも作成の時間が取れないと分かった時点で、別の選択肢を検討する順番が無駄の少ない進め方です。
正直な限界
- メモハックはiOS(iPhone・iPad)専用で、Android版やパソコン版はありません。Ankiのデッキファイル(.apkg など)の取り込みにも対応していません。
- AIが作る問題には誤りが含まれる可能性があります。特に法令や制度の分野では、生成された問題を必ずテキストや条文の原典と照らして確認してください。
- 撮影からの自動生成は、Pan ら(2023)の分類でいえば既製カードに近く、自分で作ることで得られる利得はそのままでは得られません。作る時間が取れる人にとっては、自作のほうが学習効果の面で有利な場合があります。
- メモハックは、Ankiのノートタイプ、テンプレート、アドオンのような細かなカスタマイズの代わりにはなりません。自由に作り込みたい人には、Ankiのほうが適しています。
- 耳勉モードの再生はアプリを開いている間だけです。画面を消したとき、自動ロックがかかったとき、他のアプリに移ったときは止まります。
- 復習が溜まる問題は、どの間隔反復アプリでも起こります。メモハックでも、新規を入れすぎたり数日休んだりすれば、期限切れの復習は増えます。
- 本記事の枚数や時間の目安は、Anki公式マニュアルの見積もりと、1枚10秒という仮定に基づく概算です。引用した研究の多くは一般的な学習課題を対象にしており、特定の試験での結果を示すものではありません。本記事は合格を保証するものではありません。
- Ankiの機能・価格・仕様は、2026年9月時点で公式サイト・公式マニュアル・公式FAQを確認したものです。画面の表記は版や端末によって異なる場合があり、仕様も変更されることがあるため、最新の情報は公式サイトで確認してください。
よくある質問
Ankiは初心者には難しいですか?
機能と用語が多いため、最初からすべてを理解しようとすると難しく感じます。ただしAnkiの公式マニュアルは、オプションを調整する前に既定の設定のまま数週間使うことを勧めています。最初は標準のノートタイプ「基本(Basic)」と「穴埋め問題(Cloze)」だけを使い、回答ボタンも「もう一度(Again)」と「正解(Good)」の2つに絞れば、やることはカードの追加と復習の2つだけになります。触る設定は、デッキオプションの「1 日の新規カード上限」と「1 日の復習上限」の2つで足ります。
Ankiの復習が溜まったら、リセットしたほうがいいですか?
リセットは勧めません。Ankiの公式マニュアルによれば、Ankiは待たされていたカードに答えると、その遅れを考慮して次の間隔を決めるため、長く休んだ後でも止まったところから再開できます。まず新規カードの追加を止め、1日の復習上限を今の生活で回せる数に設定して、古い順に消化してください。追いついたら新規を少しずつ戻します。
Ankiの新規カードは1日何枚にすればいいですか?
使える時間から逆算して決めます。Ankiの公式マニュアルによれば、毎日20枚の新規カードを続けると1日の復習はおよそ200枚になります。この見積もりから出した約1対10の比率を目安にすると、1枚10秒で復習に1日20分使えるなら回せる復習は約120枚で、新規は12枚前後が上限の目安です(新規カードを覚える時間は別にかかります)。Anki自身も設定画面の説明で、新規カードの上限は通常、復習上限の10分の1以下にするとしています。1枚にかかる秒数は人と教材で違うため、10枚分を一度計ってから決めてください。
iPhoneでAnkiを使うにはお金がかかりますか?
iPhoneとiPad向けの公式アプリAnkiMobileは有料です。公式FAQによると、一度購入すれば同じApple IDの端末5台まで使えます。一方、パソコン版、Android版のAnkiDroid、同期サービスのAnkiWebは無料で提供されています(2026年9月時点、公式サイトより)。公式FAQは、価格に見合わないと感じる場合の代わりとしてAnkiWebを挙げています。
Ankiのデッキをメモハックに移せますか?
移せません。メモハックはAnkiのデッキファイル(.apkg など)の取り込みに対応していないため、教材を撮影して作り直す形になります。大きなデッキと復習履歴がすでにある場合は、Ankiを続けるほうが合理的です。なお、メモハックの復習スケジューラは標準のSM-2に加えてFSRSも選べます。FSRSへの切り替えは無料で、アカウント登録なしのゲストのままでも選べます。
参考文献
- Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
- Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
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- Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
- Wissman, K. T., Rawson, K. A., & Pyc, M. A. (2012). How and when do students use flashcards? Memory. https://doi.org/10.1080/09658211.2012.687052
公式資料(2026年9月18日確認。いずれも公式サイト上のページで、ページ名とサイト名を記しています)
- Anki Manual「Background」docs.ankiweb.net
- Anki Manual「Getting Started」docs.ankiweb.net
- Anki Manual「Studying」docs.ankiweb.net
- Anki Manual「Adding/Editing」docs.ankiweb.net
- Anki Manual「Deck Options」docs.ankiweb.net
- Anki Manual「Leeches」docs.ankiweb.net
- Anki 公式サイト(ダウンロードページ)apps.ankiweb.net
- AnkiMobile FAQ「Why does AnkiMobile cost more than a typical mobile app?」faqs.ankiweb.net
- Anki 公式の日本語訳ファイル(ankitects/anki-core-i18n の core/ja。画面の日本語表記の出典)github.com