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行政書士の行政法を覚える手順——条文の型を見分けて一問一答に変換する

公開: 12メモハック開発者

行政書士試験で行政法が主戦場になるのは、配点が最も大きいからです。ところが実際に勉強を始めると、条文の量に押し流されて「テキストは何周もしたのに、問題を解くと出てこない」という状態になりやすい科目でもあります。原因は量そのものではなく、条文を読む作業のまま止めてしまい、思い出す作業に変換していないことにあります。Dunlosky ら(2013)が数百の研究を精査した結果、有効性が「高」と評価された学習法は、想起練習と間隔反復の2つだけでした(レビュー論文)。この記事では、行政法の条文を4つの型に分け、型ごとに問いの形を決めて一問一答へ機械的に変換する手順を示します。暗記法の全体像は行政書士の暗記法に、科目間の着手順序は行政書士の暗記は順序で決まるにまとめています。

なぜ行政法は「読んだのに解けない」になりやすいのか

テキストを読み返すと、内容に見覚えがあるぶん「わかっている」という感覚が強まります。ところがこの感覚は、実際に思い出せるかどうかとは別物です。Bjork ら(2013)は、学習者が自分の理解度を判断するときに、処理のなめらかさを習得の証拠として取り違えやすいことを整理しています(論文)。条文は文体が定型的で読み流しやすいため、この取り違えが起きやすい教材です。

対して、見ずに思い出す練習は感覚ではなく事実を返します。Roediger と Karpicke(2006)の実験では、想起テストを行った群は1週間後に約61%を保持し、再読群は約40%にとどまりました(論文)。同じ時間を使うなら、読むより思い出すほうが約1.5倍記憶に残るということです。行政法のように「見れば分かる」が起きやすい科目ほど、この差は効きます。想起練習そのものの手順はアクティブリコールのやり方で詳しく扱っています。

条文を4つの型に分ける

条文をひとまとめに「覚える」と考えると手が止まります。試験で問われる形はそう多くありません。型を先に決めておくと、教材を問題に変換する作業がほぼ機械的になります。

問われ方問いの形正誤の判定
期間・数値「何か月以内か」「何日以上か」数字だけを伏せた穴埋め一致か不一致か即断できる
要件の列挙「必要な要件をすべて挙げよ」列挙させる挙げ漏れの個数で測る
主体・宛先「誰が誰に対して行うか」主語と客体を伏せる一致か不一致か
原則と例外「原則は。例外はどんな場合か」原則を答えてから例外を挙げる例外の挙げ漏れを記録する

型を決める最大の利点は、判定基準が先に決まることです。「だいたい言えた」を得点として数えなくなるので、次に復習すべき項目が毎回はっきり残ります。Karpicke と Roediger(2008)は、学習後に思い出す機会を持つことが後の保持を決める要因であり、繰り返し読むことでは代替できないと報告しています(論文)。判定が曖昧だと、この「思い出す機会」が成立しません。

一問一答への変換手順

型が決まれば、変換は手順に落ちます。1論点あたり数分で回せる形にしておくのが要点です。

  1. 条文または過去問の該当箇所を開き、原文で値と要件を確認する
  2. 上の表でどの型かを判定する。
  3. 型に対応する箇所(数字・主体・要件)を伏せて問いにする。
  4. 答えを見ずに口頭または白紙で答える。
  5. 原文と突き合わせ、外した箇所に印を付ける。

手順1を飛ばさないでください。市販教材どうしでも表記が食い違うことがあり、誤った値を穴埋めにすると、その誤りごと反復して定着させてしまいます。行政不服審査法の審査請求期間なら「処分があったことを知った日の翌日から起算して[ ]か月以内」、行政手続法の意見公募手続なら「原則として[ ]日以上の意見提出期間を定める」という形になりますが、伏せた値は必ず条文で確かめたものを使います。

なお、複数の法律を1日ずつブロックに分けて回すより、混ぜて回すほうが定着しやすい場面があります。Brunmair と Richter(2019)のメタ分析は、混ぜる効果が「似ているが区別すべき対象」で大きく、無関係な対象を混ぜても利得が乏しいことを示しました(論文)。行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法のように、手続きの流れが似ていて取り違えやすい法律どうしは、混ぜて回す価値が高い組み合わせです。

「原則と例外」をどう扱うか

本番で最も落としやすいのがこの型です。原則は繰り返し目にするので言えるようになりますが、例外は登場頻度が低く、しかも出題は例外側を狙ってきます。

対策は、問いの単位を「原則」ではなく「原則+例外の組」にすることです。「原則は何か」だけを問う一問一答を作ると、原則を答えた時点で正解になり、例外の抜けが検出されません。「原則を述べ、例外をすべて挙げよ」という一つの問いにして、例外の挙げ漏れを個数で記録します。

よくない問い何が起きるか直した問い
原則はどうなっているか原則だけ言えて正解になり、例外の穴が見えない原則を述べ、例外をすべて挙げよ
この場合は例外に当たるか二択なので当てずっぽうが通る例外に当たる場合を列挙し、根拠を述べよ

記述式でも同じ構図です。Karpicke と Blunt(2011)は、教材を学習した後に概念マップを作る群と、白紙に思い出して書き出す群を比べ、後日のテストで書き出し群が上回ることを示しました(論文)。事実を問う問題だけでなく推論を要する問題でも書き出しが優れていた点が重要です。例外の列挙は、白紙に書き出す形式との相性がよい練習です。

誤答のフィードバックをどう返すか

思い出せなかったときに答えを見てよいのか、という迷いはよくあります。結論としては見てかまいません。Butler と Roediger(2008)は、選択式テストでフィードバックを与えると、誤った選択肢に触れたことによる弊害が減り、正答の保持が高まることを示しています(論文)。

ただし順序が重要です。先に思い出そうと試み、失敗してから答えを見るという順序を守ってください。思い出す試みを飛ばして答えを読むと、それは想起練習ではなく再読になります。行政法の一問一答では、10秒ほど考えて出てこなければ答えを確認し、その項目に印を付けて次に進むのが実用的な運用です。

復習間隔は試験日から逆算する

一問一答を作っても、一度解いて終わりでは定着しません。Cepeda ら(2008)は、最適な復習間隔が保持したい期間に応じて変わり、初回の復習間隔は保持期間のおよそ10〜20%が目安になると報告しました(論文)。

試験日までの残り初回の復習間隔の目安運用の方針
90日9〜18日範囲を広く回し、思い出せない項目の洗い出しを優先する
60日6〜12日外した項目に絞って間隔を詰め始める
30日3〜6日挙げ漏れの多い「原則と例外」を重点的に回す

これは目安であり、個々の項目で調整が要ります。外した項目は間隔を詰め、数回続けて正答できた項目は間隔を広げる——この調整を手作業で全項目に対して行うのが、独学で最も続かない部分です。メモハック(MemoryHack AI)は、テキストや条文集を撮影するだけでAIが一問一答を生成し、忘却曲線に基づく間隔反復で次に出す項目とタイミングを管理するため、「問題を作って順序を管理する時間」を「思い出す時間」に回せます。

よくある質問

行政法は条文を丸暗記するべきですか?

条文を文章のまま丸暗記する必要はありません。試験で問われるのは、期間や数値、要件の列挙、主体、原則と例外といった「型」の部分です。型ごとに問いの形を決めて穴埋めや一問一答に変換し、見ずに思い出せるかを判定するほうが、同じ時間で得点に結びつきます。条文の文言そのものが問われる場面でも、伏せる箇所を型で決めておけば変換は機械的に進みます。

行政法の暗記はどの順で手をつければよいですか?

出題数が多く、かつ答えが一意に決まる項目からです。期間・数値と主体は正誤判定が明確なので、想起練習の効果がすぐ数字に表れます。原則と例外は挙げ漏れが起きやすく仕上げに時間がかかるため、早めに着手して反復回数を稼ぐ配分が有利です。科目全体をまたぐ着手順序は行政書士の暗記は順序で決まるで扱っています。

間違えた問題はその場で答えを見てよいのですか?

見てかまいません。むしろ、思い出そうとして失敗した直後に正答を確認するほうが効果的です。Butler と Roediger(2008)は、フィードバックを与えると選択式で誤答に触れることの弊害が減り、正答の定着が進むことを示しました。ただし「思い出そうとする時間」を飛ばして答えを見るのは避けてください。それは想起練習ではなく再読になります。

復習の間隔はどれくらい空ければよいですか?

試験日までの残り日数から逆算します。Cepeda ら(2008)の目安では、初回の復習間隔は保持したい期間のおよそ10〜20%です。残り90日ならおよそ9〜18日、残り30日ならおよそ3〜6日が出発点になります。あくまで目安なので、思い出せなかった項目は間隔を詰めて調整してください。

参考文献